タイトル

涼宮ハルヒの消失

著者

谷川 流

イラスト

いとう のいぢ

ページ数

文庫判 ページ数:256
出版 角川スニーカー
定価 定価(税込): 540円
あらすじ 「涼宮ハルヒ? それ誰?」って、国木田よ、そう思いたくなる気持ちは分からんでもないが、そんなに真顔で言うことはないだろう。
だが、他のやつらもハルヒなんか最初からいなかったような口ぶりだ。
混乱する俺に追い討ちをかけるようにニコニコ笑顔で教室に現れた女は、俺を殺そうとし、消失したはずの委員長・朝倉涼子だった!
どうやら俺はちっとも笑えない状況におかれてしまったらしいな。大人気シリーズ第4弾、驚愕のスタート!

 

 

感想

評価:S

今回の話は時系列的には第二作『涼宮ハルヒの溜息の続編。季節は12月の冬が主な舞台です。

今回の話は主人公であるキョンが朝起き、学校に行くと周りから涼宮ハルヒ以下、SOS団全員が姿を消します。正確に言うと存在しているのですがSOS団に関することをまったく覚えていない、彼、彼女達の中にはSOS団の事に関して影も形も無くなります。
と言うよりは特殊と言われるものを全て世界から排除して再構成したようなそんな世界になっています。SOS団もそれぞれ、ただ勝気なだけで何の特殊な能力も無い少女、可憐な上級生、読書好きな少し無口な文芸部員、超優良転校生、となっており長門以外面識が無い状態になります。
長門にしても覚えているわけではなくこの世界で面識があっただけの様で、実際SOS団がある世界の詰まる所の宇宙人ではなくただの文芸部員である世界になっています。

このハルヒとも非常識とも関係が無い世界はキョンにとって望んできた世界のはず。ですが何かおかしい、何かが足りない。
じゃあその何かとは何だ?とキョンは自問自答します。
終盤に自問自答に決着をつけ、答えを得るのですがその間の心理描写が兎に角凄く良く出来ていて感動しました。
今まで一人称によるデメリットばかり自分の中では浮かんできたのですけど、この話はそんなデメリットも全然気になりませんでしたし逆に一人称のほうが良かったと思いました。それはキャラクターとの会話が少なかったからなのかそれとも自分が連続で涼宮ハルヒシリーズを読んでいてこの文体に慣れたのか、主人公の独白が多かったからか、それとも作者の書き方が上手くなったのか、全部かもしれませんし違うものかもしれませんがこの話は兎に角上手くまとまっていてこれ単体で読んでも楽しめると思います。

キャラクターについても違う世界の同じ人なのでそのキャラクター自体がものすごく魅力的に見えました。
相変わらず長門が好きです。この話ではかーなーり可愛いです。個人的には元の世界に戻らなくてもいいかと思ったキョンの思考に賛成です。

取りあえず読めば解りますがかなりスピード感があります。
話し全体としても二転三転します。個人的に好きなのは「ジョン・スミス関連」です。
色々複線があり、時間移動し犯人登場発覚の瞬間等意外な展開もごろごろしています。ですからやっぱり前巻全部読んだほうが面白いですし前巻との話も繋がりこのときがこうならあの時は?等この先の展開も気になりますし次回作も楽しみにしています。
とにかく今まで読んだ涼宮ハルヒシリーズでは最高の完成度だと思いました。



特殊なものの無い世界、その世界のハルヒ達はキョンが居なくなってからどうなったのだろう、そのこと自体が無かった事になっているのか、何も起らなかったとしてそのまま進むのか、SOS団を結成するのか、それともキョンが居なくなったと同時に幻のごとく消えてしまったのかのだろうか?そのへんは気にしてもしょうがないみたいですが、「IF」みたいな感じで少しだけ惹かれました。……その場合は純粋なラブコメでしょうけど。

hobbyトップへ。